「期間工を退職したあと、失業保険をもらう方法が知りたい」
「期間工を辞めてから失業保険がもらえるまでの待機期間は?」
「再就職手当も貰えるの?」
期間工として働いている間、会社で雇用保険に加入し、その保険料が給与から天引きされます。
ということは、退職後に「失業保険」の対象になるということです。
ただし、失業手当の受給資格には、退職理由と就労期間が大きく関わってきます。
退職したときの状況によってはもらい損ねることもあるので、失業保険や再就職手当の条件についてはよく理解しておきましょう。
そこでこのページでは、失業保険(再就職手当)の受給条件や待機期間、手続きの流れを説明していきたいと思います。
失業保険(雇用保険)とは
そもそも失業保険とは、どのような制度なんでしょうか?
この失業保険には、主に2つの目的があります。
簡単にいうと、「再就職したい失業者を支援する制度」です。
失業手当は、現金支給です。
失業によって収入が一時的になくなっても、最低限、食うに困ることはありません。
失業すると「とりあえず生活費を稼がなきゃ!」と焦ってしまい、単発の仕事(アルバイト、日雇いなど)を選びがちですが、失業保険のおかげで再就職にとりあえずは専念できるわけです。
ただ、失業保険のことは誰かが教えてくれるわけではありません!
ですから、手当をもらい損ねないよう、手続きについてはしっかり理解しておきましょう。
失業手当の受給資格を得るための3つの条件
では本題に入ります。
前述のとおり、期間工を辞めると失業保険の対象にはなりますが、受け取るには次の3つの条件があります。
【失業保険の受給条件】
大原則として、この3つの条件を満たしていないと、失業手当はもらえません。
ひとつずつ説明していきます。
【その1】
雇用保険の加入期間があること
まず絶対条件として、会社で雇用保険に入っていないと失業手当の対象にはなりません。
ただ、期間工で働く場合は会社で必ず雇用保険に入ることになるので、この点は大丈夫です。
ちなみに、雇用保険料は「毎月の給料の0.5%」です。
したがって、月収30万円の場合は、雇用保険料1500円/月が天引きされます。
【その2】
手続きの期限は退職後1年以内
失業手当をもらうにはハローワークでの手続きが必要ですが、その期限は「退職後1年以内」と決まっています。
手続きを先延ばしにすると、それだけ失業保険を受け取る時期も遅くなってしまいます。
退職したら、できるだけ早くハローワークで申請しましょう。
【その3】
再就職を希望していること
失業保険はあくまで再就職を支援するための手当であるため、次の仕事を見つけたいという意思がない人は失業保険がもらえません。
したがって、「求職実績」が必要になります。
ただ、あまり難しく考えなくても、「次の仕事を探していますよ〜」ということを証明できれば問題ありません。
具体的な方法としては、以下のとおりです。
- ハローワークでの職業相談
- 求人へのエントリー
- 企業説明会への参加
最も簡単なのは「職業相談」です。
つまり、ハローワークで仕事の相談をすれば、それだけで「次の仕事を探している」という実績になります。
ですから、この条件はあまり心配しなくて大丈夫です。
以上が、失業手当をもらうための条件です。
もう一度確認しておきましょう。
【失業保険の受給条件】
2,3の条件は余裕でクリアできます。
問題は1です。
実は、ただ雇用保険に入ってればOKというわけではありません。
失業保険をもらうには、最低限必要な雇用保険の加入期間が決まっているんです。
したがって、期間工で働く期間が短いと、失業保険がもらえない可能性があります。
ここは、失業保険をもらうための最も重要なポイントになるので、以下でさらに詳しく解説します。
受給条件は「退職理由」によって変わる
では、雇用保険の加入期間はどれだけ必要なんでしょうか?
まずは、簡単に結論だけお伝えします。
【自己都合による退職の場合】
→被保険者期間は最低12ヶ月
【会社都合(雇い止め)による退職の場合】
→被保険者期間は最低6ヶ月
このように、失業保険をもらうために必要な「被保険者期間」は退職理由によって変わります。
なお、離職者のタイプは、退職理由によって以下の3つに分類されます。
【離職者のタイプ】
離職者のタイプ | 特徴 | 事例 |
---|---|---|
①一般の離職者 | 自分の希望で辞めた方 | 契約途中の退職 契約満了の退職(自分の意思) バックレ |
②特定受給資格者 | 会社の都合で辞めた方 | 契約満了時の退職 雇い止め 倒産 |
③特定理由離職者 | やむを得ない事情で辞めた方 | 病気、ケガ、妊娠 体力不足、障害 父母などの介護 希望退職者の募集に応じる |
あなたの退職理由は、①〜③のどれに該当するでしょうか?
そして、この離職者のタイプによって、以下のように「失業保険の受給条件」が変わってきます。
【必要な被保険者期間】
離職者のタイプ | 受給条件 |
---|---|
①一般の離職者 | 離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上の被保険者期間がある |
②特定受給資格者 ③特定理由離職者 | 離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上の被保険者期間がある 離職日より前の1年間で通算6ヶ月以上の被保険者期間がある どちらか |
では、①〜③について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
【①一般の離職者】
自己都合による退職の場合
【退職理由】
自分の意思、都合による退職
【被保険者期間】
離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上
期間工を契約の途中で辞める場合は、「①一般の離職者」に当たります。
その場合、失業保険をもらうには、雇用保険の加入期間が12ヶ月以上必要です。
したがって、期間工を12ヶ月以上働いていれば、自己都合による退職でも失業手当はもらえます。
なお、「離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上」ということは、期間工以前の被保険者期間もカウントされます。
たとえば2年間のうち、雇用保険に「前職で9ヶ月」「期間工で3ヶ月」加入していればOKです。
この場合は、期間工を3ヶ月で辞めたとしても、被保険者期間は通算12ヶ月になるため、失業保険の対象となります。
【②特定受給資格者】
会社都合(雇い止め)による退職の場合
【退職理由】
- 契約満了のタイミングで退職
- 雇い止め(契約打ち切り)による退職
【被保険者期間】
- 離職日より前の2年間で通算12ヶ月以上
- 離職日より前の1年間で通算6ヶ月以上
のどちらか
会社都合による契約の打ち切り、または、契約満了のタイミングで自己判断で辞めた場合も、「②特定受給資格者」に該当します。
この場合は、期間工で働いた期間が最低6ヶ月あれば、失業手当がもらえます。↓
または、前職と合算して「通算6ヶ月以上」になればOKです。↓
あるいは、離職日から2年までさかのぼり、「通算12ヶ月以上」でも認められます。↓
ただし、この場合も、前職で失業手当を受け取っていれば、被保険者期間がリセットされるので注意しましょう。
【③特定理由離職者】
やむを得ない事情(病気、ケガ)で退職する場合
病気やケガ、妊娠、体力不足、あるいは親の介護など、やむを得ない事情で退職するケースは「③特定理由離職者」に該当します。
この場合は、「②特定受給資格者」と同じ条件になるので、詳しくは前項を参考にしてください。
「③特定理由離職者」はやむを得ない事情で退職したことを証明する必要がある!
なお、ケガや病気で辞めても、会社からもらう離職票には「自己都合」と書かれてしまうケースがあります。
その場合、ハローワークの職員に「本当に調子が悪かったんです」と、ただ口で説明しても通用しません。
ですから、そのことを証明するためには「退職後2ヶ月以内に通院したときの領収書」が必要になります。
「診断書」でも構いませんが、1,000円程度の費用がかかってしうので、通院証明は「領収書」で十分です。
以上が、失業手当をもらうために必要な「雇用保険の加入期間」です。
とくに期間工を契約途中で辞める場合は、被保険者期間が足りているか確認したうえで退職することをおすすめします。
待機期間と受給の流れ
では次に、失業手当が受け取れるまでの流れを説明しましょう。
非常に重要なことですが、実は、手続きをしたからと言って、失業手当の給付がすぐにスタートするわけではありません。
失業手当をもらうには少し複雑なステップを踏まなければいけないため、早くても1ヶ月後、遅ければ4ヶ月後から受給が始まります。
【ケース1】
- 会社都合による退職(雇い止め)
- 契約満了のタイミングで退職
- やむを得ない事情による退職
→給付スタートは申請から約1ヶ月後
【ケース2】
- 自己都合による契約途中の退職
→給付スタートは申請から約4ヶ月後
このように、退職理由によって受給までの期間は大きく異なります。
まずは、ケース1またはケース2のどちらに該当するか確認しましょう。
ケース1(会社都合、やむを得ない事情)の場合は、申請から給付まで以下のような流れになります。
このとおり、どれだけ早くても受給までは約1ヶ月かかります。
ですから、期間工を退職したらなるべく早く申請をおこないましょう。
一方、ケース2(自己都合による途中退職)の場合は、以下のような流れになります。
この場合、7日間の待機期間に加え、3ヶ月の給付制限が設けられます。
給付制限とは
前述したように、失業保険(雇用保険)は「再就職」を支援するためのものです。
そのため、自分の都合で仕事を辞めた人には少々厳しい措置が取られます。
それが「3ヶ月の給付制限」の役割です。
つまり、「失業保険目当てで会社を辞めても、すぐにはあげませんよ!」という意味合いがあります。
したがって、自己都合で会社を辞めると、失業手当の給付がスタートするまで約4ヶ月もかかってしまうことになります。
さらにその後、失業保険は約3ヶ月かけて分割支給されるため、申請してから全額もらうまでには約7ヶ月間もかかるんです!
しかもこの間、仕事やアルバイトで収入を得ると、失業保険はもらえなくなってしまいます。
つまり、失業保険を全額もらうためには、約7ヶ月間は無職でいないといけません。
いくら失業保険をもらうためとはいえ、せっかく稼いだお金を食い潰してしまっては本末転倒ですよね。
期間工は失業手当の代わりに「再就職手当」が貰える
ここまで説明したように、失業手当は全額貰うまでにかなりの期間を要します。
であれば、さっさと再就職して、きちんと給料を稼いだほうが賢明です。
また、そうすることで、失業保険の代わりに「再就職手当」も支給されます。
失業保険を全額貰うために仕事をしないのは、経済的リスクが非常に大きいです。
であれば、潔く次の仕事を見つけて再就職手当をもらったほうが、よっぽど安心できると思います。
ただし、期間工を満了退職して、また同じ会社に再就職する場合は、6ヶ月間のクーリング期間が必要になります。
このような場合は、失業手当をもらいながらクーリング期間を過ごし、全額支給されたあとで再就職するケースが多いです。
まとめ
それでは、今回の内容を簡単にまとめますね。
自己都合の退職 | 会社都合の退職 やむを得ない事情の退職 | |
退職事例 | 契約途中の退職 バックレ | 雇い止め 契約満了のタイミングで退職 病気、ケガなど |
必要な被保険者期間 ※前職は省く | 期間工1年以上 | 期間工6ヶ月以上 |
給付までの期間 | 申請から約4ヶ月 | 申請から約1ヶ月 |
期間工を契約満了のタイミングで辞める場合は、最低6ヶ月勤めていれば失業手当はもらえます。
この場合、申請から約1ヶ月後から給付がスタートします。
一方、期間工を自己都合により契約途中で辞めた場合は、過去2年までさがのぼって被保険者期間が12ヶ月間必要になります。
また、給付スタートも申請から4ヶ月後とかなり遅いです。
このあたりの知識は期間工を辞める際に大きく関わることなので、よく理解したうえで「損をしないタイミング」で退職するようにしたいですね。