「期間工の給料から引かれる税金の額がやばいんだけど…」
「期間工ってどうして社会保険料が高いの?」
期間工は、いわば契約社員です。
そのため、給与からさまざまな税金や社会保険料が差し引かれ、残りが手取りとして振り込まれることになります。
でも、その控除額があまりにも高いと、「何でこんなに引かれるの?」って不信に思うよね。
給与明細を最初見たときは、少しガッカリしました…
ただ、給与から引かれる税金や保険料は、基本的に「収入・所得」に応じて決まります。
ですから、期間工だから高いとか、この会社だから高いとったことはなく、きちんと定められた税率によって課税されているんです。
そこで今回は、期間工の給与から引かれる税金や社会保険料の計算方法をお伝えしたうえで、実際に想定される控除額をシミュレーションしてみましょう。
給与から引かれる税金が高い理由
せっかく一生懸命働いて稼いだにも関わらず、給与明細を見て愕然とする方もいるのではないでしょうか?
なぜなら、税金や社会保険料で数万円もごっそり天引きされているからです。
たとえば、月収30万円なら6万円ほどが給与から引かれることになるため、この場合は手取りが約24万円になります。
ただ、前述したように、税金や保険料は基本的に「収入や所得」に応じて決まります。
ですから、「税金が高い」と感じたのであれば、実際にそれだけ稼いでいることになるわけです。
繰り返しになりますが、税金や社会保険料は期間工だから高いということはなく、収入に応じて一定の税率が平等に課せられます。
期間工の給与から引かれる5つの社会保険と税金
それでは、期間工の給与から引かれる社会保険料や税金の種類をチェックしていきましょう。
厚生年金
給与から引かれるもので一番高いのが、「厚生年金」です。
厚生年金とは、会社員が加入する公的年金のことで、国民年金に上乗せして、老齢や障害、死亡などに備えます。
たとえば月収30万円程度なら、厚生年金の額は以下のように計算します。
計算例:
標準報酬月額300,000円 × 18.3% ÷ 2
= 27,450円
【÷2】と計算するのは、半分を会社が負担してくれるからです。
ただ、それにしても、年金だけで毎月これだけ引かれるのはイタいですよね。
健康保険
続いて、「健康保険料」を見てみましょう。
健康保険とは、病気やケガの治療費を負担軽減する公的な社会保険のことです。
たとえば月収30万円程度なら、健康保険料は以下のように計算します。
計算例:
標準報酬月額300,000円 × 10% ÷ 2
= 15,000円
【÷2】と計算するのは、半分を会社が負担してくれるからです。
健康保険はとても重要で、もし病気やケガなどで病院に通うことになった場合、医療費が3割負担で済むのは非常に助かります。
ただ、健康体で病院にほとんど行かない人からすると、無駄に税金を引かれているような感覚になるかもしれませんね。
雇用保険
少額ではありますが、一般企業で働けば「雇用保険」も毎月引かれます。
雇用保険とは、失業した場合や休業した場合に給付金を受け取ることができる公的な保険制度のことです。
たとえば月収30万円程度なら、雇用保険料は以下のように計算します。
計算例:
月収300,000円 × 0.6%
= 1,800円
過去2年以内に「通算12ヶ月以上」の雇用保険加入期間があれば、自己都合による退職でも「失業保険」がもらえるようになります。
なので、雇用保険はコスパのいい投資みたいなものなんです。
以上が、期間工の給料から引かれる社会保険料です。
所得税
続いて、「所得税」を確認しましょう。
所得税とは、個人の年間所得に対して課税される税金のことです。
たとえば期間工の年収が450万円だとすると、年間の所得税額は以下のように計算になります。
計算例:年収450万円の場合
- 所得金額316万円
- 社会保険料控除67.2万円
- 基礎控除48万円
- 課税所得200.7万円
195万円 × 5% = 97,500円
5.7万円 × 10% = 5,700円
合計 132,000円
期間工くらい稼げる仕事になると、所得税も結構な金額になりますね。
住民税
では最後に、「住民税」についてです。
住民税とは、地域に住む人が地域社会の運営に貢献するために納める税金のことです。
都道府県民税と市町村民税の2つから成り、所得に応じて課税されます。
たとえば期間工の年収が450万円だとすると、年間の住民税額は以下のように計算します。
計算例:年収450万円の場合
- 所得金額316万円
- 社会保険料控除67.2万円
- 基礎控除43万円
- 課税所得205.7万円
205.7万円 × 10% = 205,700円
均等割の加算 +5,000円
合計 210,700円
給与から引かれる費用のうち、住民税は年金に次いで2番目に高いです。
以上が、期間工の給与から引かれる5つの費用です。
これらの費用は収入に応じて計算されるため、期間工で多く稼げば税金や保険料の金額も必然的に高くなります。
期間工の税金はいくら?(シミュレーション)
それでは、ここで、期間工での年収を450万円と想定し、上記5つの費用が年間でいくらかかるかを具体的にシミュレーションしてみましょう。
控除項目 | 控除額 |
厚生年金 | 417,240円 |
健康保険 | 228,000円 |
雇用保険 | 27,000円 |
所得税 | 103,200円 |
住民税 | 210,700円 |
合計 | 986,140円 |
このとおり、年収450万円の場合、社会保険と税金の合計は約100万円に及びます。
年間にして見ると、雇用保険以外はどれもかなり高額ですよね。
ちなみに、この場合の手取り年収は約351万円になります。
年間100万円も給与から天引きされることを思うと愕然としますが、これらの費用は所得に応じて全ての人が払っているので仕方がありません。
今までに比べて「税金が高い」と感じるのは、期間工でそれだけ稼いでいる証拠なんです。
退職した翌年の税金がやばい!
このことに関して、ひとつ注意点があります。
上記5つの社会保険や税金は、期間工で稼いだ給与から引かれます。
ですから、期間工を退職したら税金の支払いが終わると勘違いしがちですが、そうではありません。
仮に期間工を辞めてしばらく無職になったとしても、厚生年金は「国民年金」へ、健康保険は「国民健康保険」へ変更されるため、保険料の支払いは続きます。
また、前述したように、住民税は「前年の所得」に応じて課税されます。
したがって、期間工を退職した年の住民税は、翌年に支払うことになるわけです。
「期間工を辞めたのに、何でこんなに税金が高いの?」という事態が起こるのは、そういう理由です。
期間工を辞めても、次の年に税金を払えるだけの最低限の余力は残しておいたほうがいいよ。
税金がかかるのは仕方ないので、期間工で稼いだお金を賢く使わなきゃですね!
期間工向けの税金対策はある?
ちなみに、期間工でも節税ができないわけではありません。
たとえば、iDeCoや新NISAはかなり現実的な節税対策になります。
iDeCoとは
iDeCoとは、自分で積み立てたお金を自分で運用し、60歳以降に受け取る老後資金を作るための私的年金制度のことです。
新NISAとは
NISAとは、購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。
新NISAになったことで、年間投資上限額が最大360万円まで拡充され、非課税の期間が無期限になりました。
要するに、将来のための「投資」になります。
これらの制度を使って投資した分は全額が所得から控除されるため、会社員が行う節税としては最も現実的です。
なお、iDeCoで積み立てて運用するお金は60歳まで引き出せないので、そこは注意しましょう。
または、副業をすることで節税も可能です。
副業で収入を得られるようになれば、それだけ所得は増えます。
しかし同時に「経費」という概念が使えるようになるため、副業(事業)のために生じた経費は所得から控除することができ、節税につながります。
ただ、この場合は、個人で確定申告を行う必要があります。
まとめ
今回は、期間工の給料から引かれる税金の種類とその金額について詳しく見てきました。
繰り返しになりますが、社会保険料や税金は基本的に収入に応じて決まります。
ですから、期間工だから高いとか、この会社だから高いといったことはないので、その点は理解しておいてくださいね。
上記のとおり、せっかく稼いだ給料から何万円も毎月天引きされて、釈然としない気持ちは分かります。
ただ、ここは「国民の義務」と割り切って、その代わり、期間工でしっかり稼ぐことにフォーカスしましょう!